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氷裂貫入青磁の溶融温度

 焼き上げた作品を窯から出してみると、釉薬が流れて棚板にくっついたり、逆に融けていなかったりして、作品がおしゃかになることがよくあります。したがっていろいろな釉薬を調合する前に、釉薬の融ける温度を調節する必要があります。溶ける温度を高くするにはカオリンなどのアルミナ分と珪酸分を増やします。一方融ける温度を低くするには、石灰、マグネシアなどのアルカリ原料を少し加えます。

 また長石の質の異なったもの(カリまたはソーダ長石)を用いると溶ける温度を変えることができます。一つの媒溶原料(アルカリ原料)よりも二つ、三つと異なった媒溶原料を配合するほうが、融け合いがよくなります。

 氷裂貫入青磁は青磁秞の基礎秞を基準に調合していますが、貫入が起きやすいように長石を増やして、珪石とアルカリ分を少なくしています。この長石には、カリウム分が大きなインド長石またはナトリウム分が大きなネフェリン長石を使っています。アルミナとシリカの比はほぼ透明秞領域です。

 カリウム長石であるインド長石を単体で使うと焼成温度が高くなるので、焼成温度を下げたいときにはこれにナトリウム長石であるネフェリン長石を混ぜて使います。長石の溶融温度は、単体で用いたときはカリウム長石よりナトリウム長石の方が低いですが、両者を混合すると溶融温度がさらに下がります。このことはアルカリ分についても言え、石灰に亜鉛華などを混ぜたほうが、溶融温度が下がります。

テーマ : 陶芸
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Author:mimakigama
降籏清司(ふりはたきよし)のやきもの・陶芸のブログです。
陶芸に興味のある方へ、釉薬の調合や焼成などのミニ情報を発信していきます。伝統釉を中心に、釉薬の作り方、電気窯・灯油窯等による焼成方法、ゼーゲル式の活用、釉薬原料の影響、などを取り上げます。

現役引退後、長野県佐久浅間に小さな陶房(御牧原工房)をつくり、小型灯油窯等を設置し、作陶にはげんでいます。専門校などにいく余裕がないので自前で勉強していますが、このブログはそのノートがわりです。

[釉薬調合と焼成]
釉薬の調合(配合)から焼成まで自前で行い、オンリーワン作品に挑戦しています。作陶内容は御牧原工房のカテゴリをご覧ください。

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